コサメビタキのバードウォッチング情報

☆夏 鳥
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まえがき

ここに記載している内容は、客観的情報と主観的情報を私自身の言葉で記したものです。

つまり、野鳥関連の複数の図鑑や専門書で勉強した内容とネットの情報およびバーダーさんとの情報交換で得た知識に、フィールドでの自分自身の実際の観察経験を織り交ぜてまとめたものです。

まだまだ勉強中のバーダーなので、内容に必ずしも責任が持てる訳でもありません。この点をあらかじめご了承下さい。

基本情報

●全長13cm ◎季節性:夏鳥 ☆雌雄同色

コサメビタキの魅力について

コサメビタキの魅力はなんと言ってもそのつぶらな瞳にあるでしょう。クリッとして可愛らしく、しかも顔の大きさと比べて大く見えます。これは”アイシャドー効果(後述)”で、実際よりも一回り大きく見える現象も手伝ってのことでしょう。

その上に、太くて白いアイリングのために、いっそう黒い瞳が目立っています。全体の姿の地味さの割には、この大きくてクッキリとした目のお陰で意外にファンが多いようです。

◎名前について

漢字表記は、小鮫鶲です。「コサメ」と聞くと「小雨」と受け止めがちですが、実際は、グレーがかった羽色が「鮫の皮」の色に似ていて、同種のサメビタキよりも少し小さいところからこの名前が付いたようです。

しかし、小さな野鳥を見て鮫を連想するというのはなんとなく納得しがたいところがあります。


英名は、Asian Brown Flycatcher です。何の面白みの無い、特別な特徴も表していない名前ですね。

分布と生育場所について

九州以北の平地から山地の、特に落葉広葉樹の明るい林に夏鳥として渡って来て生息します。春秋の渡り期、特に秋には市街地の公園などでも見られる機会が増えます。


私のフィールド(広い林のある公園)では、繁殖もするのですが、10月第1週から第2週にかけての辺りに急に個体数が増え地鳴きを聞く機会も多くなったと感じる日があります。そういう時に、「渡りの途中に立ち寄ったのだな」と実感します。

外見や生態の特徴について

頭部から体上面は灰色みのある褐色系の色で、翼と尾羽はかなり濃い灰色をしています。

喉と体下面は一様に白いのですが、胸は淡い灰褐色のような感じです。類種(サメビタキ属3種)のサメビタキやエゾビタキの胸には暗褐色の縦斑がありますが、本種には無いので識別ポイントになります。

背中の方から見ると、エゾビタキとコサメビタキはよく似ているという印象を強く持ちます。正面を見ない限り、フィールドではほとんど区別がつきません。

☆識別ポイントとなるコサメビタキの特徴のまとめ

  1. アイリングは輪郭は太くて白い
  2. 目先が広範囲に白い。(個体差があるかもしれない。)
  3. 胸に縦斑はなく、淡い灰褐色
  4. 下嘴の基部が明るい黄色~橙黄色

ちなみに、幼鳥は他のヒタキ類の幼鳥と同様に、上面に多数の白い斑点があります。成長とともに無くなっていきます。

また、下嘴は幼鳥初期の頃は黄色味はありませんが、これも成長とともに写真の個体のように黄色くなってきます。


身軽な鳥として知られており、ホバリングや素早いUターンが得意で、目立つ枯れ枝の先からフライングキャッチで飛んでいる昆虫類を補食します。(フライングキャッチそのものはヒタキ類によく見られる行動パターンです。)

身軽さゆえに、卵を抱くメスへの給餌も、ヒナへの給餌も、一瞬にして口移しでやってみせ、急ターンで飛び去ります。

秋の渡り期には樹木の実、特にミズキの実によく来ています。渡りに備えて脂肪を蓄えるためなのだろうと推測しています。

したがって、10月上旬は好物のミズキの実がある付近を観察すると見つけやすいかもしれません。

2018年10月7日に、キビタキの地鳴きとコサメビタキの地鳴きに誘われて周辺を捜すと、熟し始めたばかりのミズキの実を食べようと、2羽のキビタキと2羽のコサメビタキが何度も姿を表し、時にはホバリングを見せてくれました。

幸運なことに、同時に2種の競演を1時間ほど観察することができました。

鳴き声(囀りと地鳴き)について

囀りは複雑な上に早口で囁くような小声なので遠くまで届かないでしょうし、さらに番(つがい)になるとさえずらなくなるというので、囀りで気が付く可能性が低そうです。

桜の木の下を歩いている時に頭上から囀りらしき鳴き声が聞こえてきたことがありますが、せいぜい聞こえるのは5mくらいまでじゃないでしょうか。

この時以外では姿は見えていても囀りを聞いたことはありません。地鳴きは、「ツィー」や「チリリ」のような感じです。(言葉で表現するのは無理があるので、ぜひネット上の音源などで確認してみてください。)

追記:2022年4月17日

珍しく大きな声の囀りを聞くことができました。


コサメビタキの地鳴きに関しては、2018年10月7日に初めて「チリリ」の方の地鳴きを確認しましたが、囀りとは異なりかなり遠くからもハッキリと聞こえます。一度覚えてしまうと、この地鳴きを頼りに捜すのは難しくはないでしょう。

この日、フィールドのあちらこちらでこの地鳴きが聞こえてきたので、ここで繁殖した個体だけでなく渡りの途中に結構な数のコサメビタキが立ち寄ったのだろうと思いました。

面白ポイント

コサメビタキは、姿は地味ですが、目が大きくてクリッと可愛らしいのでかなり人気度の高い野鳥と言えるでしょう。

クリックして拡大して目のアップを見てください

実は、本種の目がひときわ大きく見えるのには理由があって、目の縁にある肉質のリングが黒いので瞳と同化してその分大きく見えているようです。いわば、アイシャドー効果ですね。(これは何もコサメビタキだけの特徴ではないのですが、コサメビタキの場合に特に効果が大きいように思えます。)

この点は普通の写真では確認できないので、拡大した写真を載せておきます。興味のある方は、ぜひ確認してみてください。

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