この記事は、旧ブログに掲載(2019年4月15日)していたものをブログ移転に伴い2022年4月26日に再掲載したものです。
細かな加筆修正を加えていますが、それ以外は旧記事と同じ内容です。
翡翠(カワセミ)の観察&撮影を始めてから4回目の春を迎えました。これまでで一番回数も増やし時間もかけて観察を行っています。
昨年のこの時期は、それまで毎年見られていたカワセミが姿を消してしまいまったく観察できませんでした。
それがとても残念でなりませんでした。
どうやら別の場所で繁殖を行ったようで、数ヶ月語に若鳥(♂)が戻ってきました。
その若オスが繁殖期に入り、いつの間にかメスの姿を見かけるようになって数週間が経ちます。
自分の縄張りにメスを招待するまでの様子は観察の範囲外ですが、このフィールドにやって来たからの2羽の様子は昨季の分もという気持ちで観察しています。
求愛給餌とは?
一般的には下記の解説が役に立つでしょう。
求愛行動の中で、雄が雌に餌を与えることを求愛給餌と呼んでいます。求愛給餌はつがいのきずなを強める役割を持つと同時に、雌に対する栄養補給という実際的な意味も持っています。多くの種では、求愛給餌を受ける雌は翼を下げ細かくふるわせながら口を開け、まるで雛が餌をねだるような姿勢をとります。
求愛給餌が記録されている日本の鳥には、トビ・チョウゲンボウ・アオバズク・コアジサシ・カワセミ・モズ類・カラ類・カワラヒワ・オナガ・カラス類などがあります。この中で、モズやカワセミ、コアジサシの求愛給餌は観察のチャンスが多いものです。これらの鳥では、求愛給餌の後にしばしば交尾が行われます。
平塚市博物館
カワセミにおいては、オスがメスに小魚などの餌をプレゼントする行為を指します。
カワセミのオスがどこからか戻ってきたときに、小魚の頭を先の方にして咥えている時があります。
あるいは、飛び込んで獲物をとったときに、器用に小魚の頭が先になるように回転させながら咥え直すことがあります。
そういう様子が見られたら、それは給餌を前提にした行動と考えられます。
求愛給餌の不思議
このようなオスからメスへの給餌ですが、観察していてとても不思議なことがあります。
下記の疑問は、巣穴も協力して掘るようなカップルとして成立した後の話です。
1つは、
オスが給餌用の小魚を咥えて戻ってきて鳴き声を発してメスを呼ぶ(少なくとも、そのように見える)のですが、いっこうにメスがやって来ません。
いつまでも来ないので、その内オスが小魚を咥え直したかと思うと自分で食べてしまう、というようなシーンを数回見たことがあります。
なぜメスはもらいに近くへ来ないのでしょう。
もう1つは、
オスが小魚を咥えてメスの隣に止まったのに、いつまでたってもメスが受け取ろうとせずに、オスがしびれを切らしたように餌を咥えたまま飛び去るシーンも2~3回見たことがあります。
なぜメスは受け取らないのでしょう。
すんなりと受け取るときとそうでないときがある、謎です。
これがカップルとして成立する前の話なら分かります。
メスが気を持たせているとか、他のオスからも求愛されていてプレゼントを受け取ることに積極的でないとか、いろいろあるだろうなと推測できます。
ところが、巣穴まで一緒に掘ったカップルにしては不可解な行動に映ります。
このあたりのこともお分かりになる方がおられましたら是非とも教えていただきたいものです。
プレゼントを運ぶ健気なオス
2019年3月下旬から4月上旬にかけて撮影することができた求愛給餌行動をまとめました。
ときには身体に比して大きく見える小魚をゲットしているシーンも観察できました。
健気な姿に感動すら覚えます。
求愛給餌に成功したシーン!
求愛給餌のシーンを連続撮影した静止画からスライドショーを作りました。
給餌の瞬間をスローモーションのような感覚で確認することができます。
あとがき
カワセミの観察に時間をかけたおかげで、今年ほど求愛給餌のシーンをたくさん見られたシーズンはありません。
それによって、上記のような疑問も生まれたわけですが、これがバードウォッチングの醍醐味の1つなのかもしれません。
生態的行動の背景にある意味をいろいろと想像するのもまた楽しいものです。
ちなみに、抱卵が終わるとヒナに対する育雛給餌が始まります。
こちらの給餌シーンも観察して楽しいものです。
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