まえがき
ここに記載している内容は、客観的情報と主観的情報を私自身の言葉で記したものです。
つまり、野鳥関連の複数の図鑑や専門書で勉強した内容とネットの情報およびバーダーさんとの情報交換で得た知識に、フィールドでの自分自身の実際の観察経験を織り交ぜてまとめたものです。
まだまだ勉強中のバーダーなので、内容に必ずしも責任が持てる訳でもありません。この点をあらかじめご了承下さい。
基本情報
●全長17cm ◎季節性:留鳥 ☆雌雄ほぼ同色
カワセミの魅力
カワセミの魅力かつて”清流の鳥”と盛んに言われましたが、実際には市街地の公園の池や決してきれいとは言えない町中の小さな川にも棲んでいます。
つまり、身近で見られる青い鳥というわけです。
羽色が色鮮やかなコバルトブルーで、翡翠(ひすい)のような体色から、「飛ぶ宝石」とか「水辺の宝石」とも称されることがあります。
水面近くを直線的に飛翔する姿を目にするとその美しさに感動さえ覚えます。
水にダイビングして魚をとる生態もカワセミの魅力の1つで、その瞬間を狙う撮影者を魅了しています。
また、体色の美しさは、源氏物語や平家物語にも比喩表現として表れています。「髪さはらなるほどに落ちたるなるべし、末すこし細りて、色なりとかいふめる、翡翠だちて、いとをかしげに、糸をよりかけたるやうなり(源氏物語椎本)」
カワセミの翡翠色は、現代人だけでなく、古の人たちをも魅了していたことが分かります。
名前について
奈良時代に「そにとり(=青緑色をした鳥)」と呼ばれていたのが時代とともに変化を受け室町時代に「カワセミ」となったようですが、変遷が大きすぎてその過程が分かりません。
推察するに、この「セミ」はおそらく「鳥」を表し、「川にいる鳥」という意味なのではないでしょうか。
ということは、ついでながら、ヤマセミは「山にいる鳥」ですか。
なんとも大雑把なネーミングですね。(^^)
ちなみに、これには異説もあるようですが、漢字表記の「翡翠」の「翡」はオスを表し、「翠」はメスを表すそうです。
宝石の「翡翠」は、その美しさをカワセミの背にたとえた名称だそうです。(逆だと思っていました。(^^;)
英名は Common Kingfisher です。「広く生息している漁師の王様」という意味合いでしょうね。
英名は、水にダイビングして魚などを捕る生態に注目をして名付けたようです。
両者の着眼点の違いに美意識の差があるように思われます。
分布と生育場所について
北海道では夏鳥のようですが、他の地域では留鳥として分布しています。
平地から山間部のエサとなる魚がいる河川、湖沼、市街地の公園の池などにも生息しています。
私がカワセミに出会う場所も公園の池です。
かつては、”清流の鳥”というイメージがあり、個体数の減少を環境問題と関連付けられたこともありました。
例えば、「開発が過ぎてカワセミの生息環境が悪化し,その結果、個体数が激減した。しかし、その後環境意識が高まるにつれて河川などが浄化され都市部でも観察できるほどに改善された。」のように言われることがよくありました。
しかし、要約すると、カワセミが好んで清流に生息していたというよりも、むしろそういう環境に小魚などのエサが豊富だったからであって、その後カワセミ自身がえさの小魚の種類の変化に対応して”清流”とは言えないような池や街中の小川にもエサを求めて棲むようになったのではないか、と考える人もいるようです。
私のフィールドでは、公園の池や近くの川でエサを捕っています。
特に公園の池はカワセミには可哀想なほどの水質環境です。
それをいつも見ている観察者としては、後者の意見が実情に合っているのではないかと考えています。
外見や生態の特徴について
体そのものはスズメほどの大きさですが、嘴(くちばし)が極めて長く、それに比例するように頭が大きいのでスズメよりも大きく見えます。
その嘴ですが、雄は上下とも黒いのに対して、雌は下嘴が赤いです。
他には違いはないので、この点が識別ポイントになります。(上の画像と比較参照)
成鳥はこの個体のように足が鮮やかな赤色になるのも特徴です。
体色は、喉と頬の後の白斑と背中のブルー、そして腹部の橙褐色が美しいコントラストをつくるのが特徴です。
ちなみに、幼鳥は雌雄ともに下嘴は黒色で、足も黒っぽく、体色全体にも鮮やかさなく黒ずんだ印象があります。
また、嘴の長さも成鳥ほど長くはありません。
繰り返しになりますが、「飛ぶ宝石」とまで称えられるカワセミの美しさは、腹部のオレンジ色とコントラストをなす頭部から背中全面のブルーの羽色にあります。
その中でも、背から尾にかけて中央部を流れるように覆っているコバルトブルーが最大の魅力でしょう。
カワセミの青色は色素によるものではなく、羽毛にある微細構造により光の加減で青く見えたり、緑色に見えたりするのです。
これを構造色といい、光源と見る方向によって色は変化に富みます。
要は、シャボン玉がさまざまな色に見えるのと同じ原理です。
この美しい羽色から「~の宝石」などと呼ばれるわけです。
2019年2月22日撮影のカワセミですが、眼の後ろのオレンジ色の部分に白くて太い羽が数本(右は4本、左は6本)見られます。
12日に同個体を撮影したときには見られませんでした。
これはいったい何なのでしょうか?
これは、新しい羽なのだそうです。
正確には、新しい羽を包んでいる物です。
新しい羽が皮膚から出て来る時に、中の若い羽を包んでタケノコのように出て来て、ある所まで出て来ると殻が(鞘)が破れて、綺麗な新しい羽が現れるそうです。
鳥の羽根や羽毛すべてこのように、ストロー状に生えてくるそうです。雛の時は、ハリネズミのようだと形容する人もいます。
カワセミは、水辺の樹や杭などにとまって、”待ち伏せ”型の狩りをすることでも知られています。
その際に、止まっている枝などから直接水の中にダイビングをすることもありますが、ホバリングの状態からダイビングすることもあります。
私のフィールドでは、残念ながらホバリングを観察できる機会はあまり多くありません。(左の画像は唯一撮れたホバリングの瞬間)
圧倒的に多いのは、枝などからの直接ダイビングです。
水質の関係で、ホバリングでは魚を見つけにくいのではないかと推測しています。
鳴き声(囀りと地鳴き)について
「チー」とか「チーッ」のように甲高くて細い鳴き声を何度か聞いたことがありますが、個人的な経験では、繁殖期以外では聞ける機会はあまり多くはありません。
恋の始まりから育雛、巣立ちの頃までは頻繁に聞かれます。この時にカワセミの鳴き声を覚える人が多いようです。
面白ポイント
カワセミの足は極端に短いです。
地上でエサを捕る鳥の足が比較的長いことからすると、カワセミの足が短いのは水の中でエサを捕るので足を使うことがあまりないからでしょうか。
その短い脚で器用に頭を掻く様子は実にユーモラスで、枝などを横に移動する様はまるでよちよち歩きの赤ちゃんのようで微笑ましく、観察していてなんとも楽しい気持ちになるものです。
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