これは夏鳥のコサメビタキの繁殖活動の観察記録です。
今後の観察の参考にするために備忘録としてまとめました。
最初は仲間内だけが見られる「非公開」扱いにしようと考えました。
しかしながら、繁殖活動中に見られる様々な行動の意味を理解するのに私の観察が誰かのお役に立つのではないかと考え、また、情報交換によって、互いの不明の部分を補完できるのではないかと期待して、公開することにしました。
私の不明の部分、推測、疑問点などをご教示いただければ有り難いです。m(_ _)m
- コサメビタキの繁殖に関わる図鑑情報
- コサメビタキの営巣
- 4月20日(水曜日)の観察:営巣中のコサメビタキを発見
- 4月23日(土曜日)の観察:営巣中
- 4月28日(木曜日)の観察:営巣中
- 5月3日(火曜日)の観察:抱卵中
- 5月5日(木曜日)の観察:抱卵中
- 5月6日(金曜日)の観察:抱卵中
- 5月8日(日曜日)の観察:抱卵中
- 5月15日(日曜日)の観察:抱卵中、雛が孵った様子なし
- 5月18日(水曜日)の観察:抱卵中+育雛中(1番子が孵ったのは16日と推測)
- 5月19日(木曜日)の観察:抱卵中+育雛中(嘴から2羽の雛を確認)
- 5月22日(日曜日)の観察:育雛中(4羽の雛を確認)
- 5月23日(月曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
- 5月24日(火曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
- 5月25日(水曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
- 5月26日(木曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
- 5月27日(金曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
- 5月28日(土曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
- 5月29日(日曜日)の観察:巣立ちの予定日
- あとがき
コサメビタキの繁殖に関わる図鑑情報
紙の図鑑やネット上の図鑑情報をまとめると下記のようになります。
- 4月ころに繁殖地(平地から山地の明るい落葉広葉樹林)に渡来。
- 渡りの途中から既に始まっていると言われる求愛行動が目立つようになる。具体的には、メスを追いまわす、尾羽によるディスプレイ、求愛給餌などが分かっている。
- 巣は樹木(スギ、ヒノキ、カラマツ、マツ、ナラ、クリ、ケヤキなど)の横枝に蘚苔類や樹皮、クモの糸などを使って皿形に作り、表面にウメノキゴケを貼り付けて木のコブのようにみせる。
- 一夫一妻で縄張りを持って繁殖する。
- 巣は地上2.5~8mぐらいの高さの葉のない水平な枝の上に造られる。(なぜこんな目立つところに?)
- 産卵期は5月上旬から6月下旬までで、1回の営巣で産卵する数を一腹卵数というが、コサメビタキの場合、それは4~5個と考えられている。
- 営巣は雌雄共同で、抱卵はメスだけで、育雛は再び雌雄共同で行う。(抱卵はメスだけ←疑問)
- 雛は産卵後12(~14)日ぐらいで孵化し、更に12(~14)日ぐらいで巣立つ。
コサメビタキの営巣
4月20日(水曜日)の観察:営巣中のコサメビタキを発見
コサメビタキを撮影中に、巣作りを行っていることに気が付きました。
巣を探そうとしたわけではなく、まったくの偶然です。
ここはとある企業の”私有地”なので、その日のうちに管理責任者にコサメビタキが営巣中であることを報告した上で観察許可をもらいました。(2017年にもコサメビタキの営巣を見つけ、同様の対応をしました)
その際に、観察方針(注意する点とマナー遵守および三脚使用)の説明をさせていただき、同時に、ごく限られたバーダー仲間に教える許可もいただきました。
4月23日(土曜日)の観察:営巣中
20日とは別のポイントから観察することにしました。(管理人さんと一緒に探したポイントです)
観察者の身を隠すことができるので、コサメビタキに与えるストレスを軽減できるかもと希望的観測です。
これにより、観察ポイントは角度的にも良くなり距離も近くなったのですが、葉の隙間から狙うので風があると見えなくなるという大きな欠点があります。(^_^;)
下の画像ですが、いかにも抱卵をしているように見えるこの姿勢が観察者を混乱させます。
この姿を見て短絡的に、「抱卵中だ!」と思い込むと、正確な観察は行えないと自戒しました。
もし、この日から抱卵が始まったと仮定したら、遅くても5月の20日には一番子は巣立ちを迎えるはずだからです。5月18日と19日の観察で、それは有り得ないことが分かっています。
ただ、なぜかは分かりませんが、営巣中にこのような姿勢をとることは確かなようです。
巣を見つけた20日から既に巣の中に座るという行動をとっていましたから。
4月28日(木曜日)の観察:営巣中
23日の巣よりも少し大きくなっています。
5月3日(火曜日)の観察:抱卵中
観察ポイントを少しずらしました。葉が茂ってきて観察が困難になってきました。
一番子の孵化が5月16日だと考えられる十分な根拠があるので、逆算すると抱卵開始日は、2日あるいは3日だと推測できます。
2日開始なら、抱卵期間はちょうど2週間、3日開始なら13日間になります。
◎正真正銘の抱卵行動です。それは3枚目の画像から分かります。
◎外出から帰宅したところ
抱卵中であっても、時々留守をすることがあります。抱卵は基本的にはメスだけが行うので、時々、休憩するのかもしれませんね。巣の中を汚さないために、トイレ休憩という意味もあるでしょう。
留守をする時間は、抱卵初期は数分から長いときで40分もありましたが、徐々にそのような長時間の留守は減少しました。
オスがなかなか戻ってこないと、巣を離れることがあるので、そういう場合は、自分で食べ物を探しに出かけているのでしょう。
オスはひたすら”給餌”を行います。時々、短時間ですが、メスの代わりに抱卵することがありました。
5月5日(木曜日)の観察:抱卵中
観察ポイントを再び変更しました。3日のポイントはコサメビタキから丸見えなのでこちらに少し変えました。
◎抱卵中
時々、方向を変えます。卵を均等に温めるためと推測できるのは?
◎オスが給餌に戻ってきたらメスがいないというパターン
時々、こういうシーンが見られました。
オスの帰りが遅い時に起こることなので、おそらく痺れを切らしたメスが休憩がてら餌を探しに行ったのだろうと推測されます。
◎座り直しているところ
抱卵中は頻繁にこの「座り直し」を行います。
卵を均等に温める、のが目的だろうと結論付けました。(証明はできません)
◎おねだりコール
こういう風に口を大きく開けて、横や、特に、上の方を向くと、それはオスが餌を咥えて近くまで来た印です。
このタイミングでシャッターを切ると(もちろ、連写ですが)、オスが戻ってくるところと再び食べ物探しに出かけていくところの両方が撮影できます。
◎給餌の瞬間
こんな風に、メスの口の奥の方に置いてやるようです。(雛に対する給餌の時の同様です)
これはおそらく、せっかくの獲物に逃げられないようにするためではないかと推測しています。
5月6日(金曜日)の観察:抱卵中
◎抱卵中
◎次の3枚は、給餌の仕方が分かる連続写真
給餌は一瞬で終わります。
5月8日(日曜日)の観察:抱卵中
◎抱卵中
◎おなじみの給餌のシーン
5月15日(日曜日)の観察:抱卵中、雛が孵った様子なし
傘マークの日が続き、1週間ぶりの観察になりました。
オスから給餌を受ける際の反応が明らかに薄くなっていました。以前は、オスが近くにやってくると、その方向に顔を向け嘴を開けて餌を入れてくれるのを待っていました。
しかし、今日は、目立った”おねだりポーズ”はしません。すぐ近くに来て初めて、反応をし始めるという具合です。
反応が直前まで読めないので、メスの表情を見ながらシャッターを切るのが難しくなりました。
それにしても、反応が薄くなったのは何故なのでしょう?
◎抱卵中
時々、座り直しながらも概ねこのように落ち着いた様子で座っていました。
5月18日(水曜日)の観察:抱卵中+育雛中(1番子が孵ったのは16日と推測)
観察ポイントをまたまた変更しました。このポイントも葉が茂ってきて、少しでも風が出てくるとレンズの前が塞がれてしまいます。3日の位置に戻しました。
◎雛に対する給餌中
雛の嘴の先が2本、ほんの少しだけ見えています。位置関係から、2羽だと考えられます。
◎給餌中
1羽の嘴が見えています。
◎1羽の雛の”死産”を観察しました。
蘇生させよう(?)と嘴で突いたりつまんだりをしばらくの間、繰り返していました。
とうとう諦めて、この後、巣から運び出しました。
この日の観察で、”死産”した子を含めて3羽の雛が確認できました。
15日には、孵化した様子は見えなかったので、16日に1羽、17日に1羽、そして、18日に1羽(死産)と判断できます。
5月19日(木曜日)の観察:抱卵中+育雛中(嘴から2羽の雛を確認)
近くに潜んでいたカケスに気が付いたメスがスクランブルをかけました。
威嚇音を発しながら一直線にカケスのところに飛んでいきました。カケスはしつこくやって来る割には、こういう時はあっさりと逃げます。5年前も同様でした。
この日くらいから、「カケスの姿は見えるのに鳴かない」ことに気が付きました。(夕方までいる管理人さんも同意見でした)
◎給餌中
◎雛の目の付近まで確認できます
おそらく、この雛が一番子です。
◎この日に孵った雛がいると推測
嘴が見えている2羽以外の雛に給餌、あるいは何らかの世話をしている様子が確認できました。
◎左の雛に給餌中
5月22日(日曜日)の観察:育雛中(4羽の雛を確認)
20日と21日は観察できず。
19日のカケスへのスクランブルがきっかけとなったのか、給餌をする親の様子に緊迫感が漂っています。
具体的には、給餌に戻ってくる際に、ストレートに巣に戻ることはほとんどなくなりました。近くの枝に止まって、ワンクッション、ツークッション置く感じです。
◎4羽の雛を確認
4羽目の子は20日の金曜日に孵ったのだろうと推測。
カケスへの警戒心と思われますが、緊迫感漂う様子です。
◎大きくなった一番子
◎給餌のおねだり
オスから受け取った餌をメスが咥えています。それを知って、一番子(?)がおねだり開始です。
◎3羽の雛のおねだりポーズです
◎大きくなるに連れて、給餌の際に巣から上に出てくる部分が増えます
5月23日(月曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
巣に戻ってくる際に、用心深かったり、フェイントかけたり…、巣の周囲に対する警戒心はさらに強くなりました。
ワンクッションどころかファイブ・クッションほど置くこともあります。
時には、せっかく持ってきた餌を給餌せずに引き返すこともあります。
ある時は、おそらく好奇心で近くにやってきたヤマガラを巣の中のメスが飛び出して追い払いました。子育て中なので神経過敏になっています。営巣中はスルーしていました。
1日で成長の度合いが分かる程度に育っています。給餌を受ける時に首を真上に伸ばしますが、巣から上に出てくる部分が日ごとに増えています。
◎留守番
長いと10~15分ほど戻ってこない時があります。親の留守を狙われないかと、観察者の方が心配になります。
◎給餌の瞬間
◎交代
時折、このように同時に交代する時があります。一瞬の出来事です。この連携プレーのために、どのようにコミュニケーションをとっているのでしょう?
◎4羽のおねだりシーン
次の2枚の写真を見比べてください。違いがお分かりでしょうか?
おねだりしているかどうかの違いです。親が餌を持ってきたのですから、普通はすぐに反応しておねだりをします。
観察していて気が付いたのですが、時々、すぐにはまったく反応しない場合があります。雛が反応しない時は、必ず親が辺りをキョロキョロと確認しています。時には、餌を持ったまま飛び去ることもあります。
どうやら安全確認をしているらしいのです。前日辺りから見られるようになった行動です。大人しくしていないといけない時は、鳴き声か何かで知らせているのだろうと推測しました。
5月24日(火曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
巣に戻るまでのプロセスが前日よりもさらに複雑になっている印象。警戒レベル、マックスです。
例えば、ある時は、観察者から見て巣の右下15mほどのところにある枝先に止まり、少し上にジグザグ的に移動を3回繰り返し、次に巣を大きく通り越して左奥付近に止まり、しばらくしてからようやく巣に戻ってきたのを観察しました。
◎雛だけで留守番
親が留守中です。一人前のような姿勢で座っています。
◎翼を広げる一番子
一番子と思われる雛です。昨日は翼をもぞもぞさせていただけだったのですが、今日ははっきりと翼を動かす行為が何度か観察できました。
◎フンを運び出す瞬間
何回も撮影に挑戦してようやく、フンを運び出そうとする瞬間を捉えることができました。
不思議なもので、一度撮影できるとフンの運び出しを予測できるようになり、この後は何度も捉えることができました。
5月25日(水曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
◎早朝はこのように両翼を広げて雛たちを温めています
◎雛たちへの給餌用の餌を受け取る時はこのように浅く咥えます
◎一番子らしい雛、こんなに大きくなりました
◎雛たちだけでお留守番
驚いたことに、カケスにも狙われている状況で、30分ほど留守にしたことがありました。しかも、その間、様子を見に帰ることもありませんでした。これだけの長時間の留守は久しぶりに観察しました。
◎4羽の雛たち、無事を確認
◎羽ばたきの練習
前日よりも強くなった羽ばたきの練習が見られました。
◎羽ばたきの練習
巣の直ぐ側で、親がホバリングをしたり20~30cmほど飛び上がってみたりして、雛に羽ばたきの練習を促しているように見えるシーンを何度か観察しました。
5月26日(木曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
◎おねだりシーン
◎雛たちだけでお留守番
◎お母さんにピタッ!
早朝は10℃ほどなので寒いのでしょうね、お母さんに胸にぴったりとくっついています。
◎給餌の連携
オスから餌を受け取ったメスがこれから雛たちに給餌します。それを知って、雛たちも一斉におねだりをします。
◎羽ばたきの練習
5月27日(金曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
早ければ今日が巣立ちの予定でしたが、巣立つことはありませんでした。
カケスにスクランブルをかけ、追い払うところを目撃しました。
さらに、ツツドリに対しても2羽でスクランブルをかけました。ツツドリが逃げ込んだ樹の中で2羽で何回か攻撃をしかけるとようやくツツドリが遠くへ逃げていきました。
スクランブルをかける時は、コサメビタキにしてはかなり大きな声で威嚇音を発します。ただ事ではないという緊迫感が伝わってくる鳴き声です。
◎早朝の様子
前夜からの雨が夜明け近くまで続いていたはずです。気温は10℃ほど。お母さんは翼を広げ気味にして雛たちを雨から守っていたのでしょう。
◎一番子
◎フンの運び出しシーン
雛のお尻からフンが出てくる瞬間です。雛が大きくなるにつれてこの瞬間を観察する回数も増えます。
◎フンを咥えて運び出す瞬間
◎欠伸の後の甘えシーン
今回の一連の観察で、鳥も欠伸をするのだと分かりました。親も雛も欠伸をします。
◎給餌とおねだりシーン
◎フンの運び出しシーン
お尻の方で待ち構えることが多くなりました。
◎力強い羽ばたき
5月28日(土曜日)の観察:育雛中(4羽の雛、無事を確認)
今日も巣立つことはありませんでした。
ということは、図鑑情報(孵化から12~14日で巣立ち)が正しければ、明日が巣立ちの日ということになります。
餌を咥えて巣の近くまで来て、巣立ちを促す行動がハッキリと見られました。しかし、しばらくして諦めていつものように給餌をし、その直後、巣のすぐそばに止まり、再び、巣から出るのを待っている様子が見られました。
24日から始まった羽ばたく練習が、日ごとに力強く、時間も長くなっています。
2~3度、巣の縁に立って羽ばたきました。これを待っていました。
巣立ちを期待しましたが、すぐに巣の中に戻りました。残念…。
何回か羽ばたきの練習をした後、疲れたのか20~30分ほど昼寝をしていました。親が給餌に来ても無反応でまどろんでいました。
一番子が兄弟姉妹たちの毛繕いをする姿が見られました。微笑ましい光景でした。
また、他のヒナが一番子に対して甘えたり、お互いにじゃれ合ったりする様子も見られました。
カケスが少し離れたところで一声鳴くと、巣を留守にしていた親がすぐに戻ってきて巣の中と辺りをキョロキョロと確認し、再び巣を離れました。
◎虹色に輝く翼
◎早朝から羽ばたき練習
この日は、観察した範囲内では、早朝の6時半くらいから午前10時くらいまでの間に頻繁に羽ばたき練習をしました。概ね、10~30分ほどの間隔で繰り返していました。その後は、お昼寝タイムになりました。
また、巣立ち間近に見られる巣の縁に立っての羽ばたき練習も観察することができました。
羽に付いていたと思われるホコリのようなものが飛び散っています。
このことから、本日1回目の羽ばたき練習なのだろうと推測しました。
◎羽ばたき練習を促すお母さん
自ら羽ばたいて雛を刺激するようです。
そうすると、雛は…
羽ばたき始めました。
◎今度は2番子の羽ばたき練習
◎1番子と2番子のツーショット
上が一番子と思われます。
◎お母さんに促され羽ばたき練習をする一番子
とうとう巣の縁に足をのせました。
◎兄弟姉妹でじゃれ合っているシーン
瞬間を切り撮ると何をしているのか分かりにくいですね。おそらく、こういうのは動画の方が向いているのでしょうね。
◎巣の縁に立って羽ばたき練習
足元が見えませんが位置関係から、縁に立っているのは明らかです。
この勢いで巣から出るかと思ったのですが、そのまま中に戻ってしまいました。
◎巣立ちを促す
右端にいる親が餌を咥えていますが、巣には行かずに、ここまで餌を取りに来い、と巣から誘い出そうとしています。
この後、親は諦めて給餌をしました。
◎最後のファミリーショット
これが最後の一枚になってしまいました。
5月29日(日曜日)の観察:巣立ちの予定日
今日こそ巣立ちの日!
早朝に巣立つことが多いと聞き、いつもより早く6時現場着の予定で出発しました。
前日の一番子とニ番子の様子から、ニ番子も一番子につられて同時に巣立ちをするのではないかと予想していました。
巣立ちの瞬間に立ち会えるのがベスト。しかし、すでに巣立っていても、その様子が見られるならそれで良し、と思っていました。
車を降り、準備をして観察ポイントへ歩き始めたのが6時数分前。
観察ポイントまで後1~2分のところまで来ると、カケスの鋭い鳴き声が数回、その直後、コサメビタキの威嚇音が連続的に聞こえ、再びカケスの鳴き声がしました。
27日に目撃したカケスへのスクランブルの時よりもはるかに緊迫感のある鳴き声でした。
方角はまさに観察ポイント辺りです。
そして、静かになりました。
いそいで観察ポイントに行くと、巣は空っぽになっていました。
20分そのまま観察を続けました。
周囲にコサメビタキがいる気配がまったくありません。
1~2分前にはコサメビタキが間違いなくいて、観察ポイントから巣を確認したちょうど6時には巣が空っぽになっていた状況から、カケスに襲撃されたと考えるのが妥当だろうと判断します。
カケスとコサメビタキの緊迫した鳴き声を聞いていなければ、「一斉巣立ち」という可能性が高いとなるのでしょうが、また、そう思いたい気持ちもありますが、現実的にはその可能性は限りなくゼロに近いでしょう。
希望的観測としては、いくらカケスでも雛と言えども一度に4羽を同時に捕獲するのは無理でしょうから、助かった雛たちがいると思います。
特に、一番子、ニ番子はその可能性が高いと信じたいです。
一番小さかった雛は羽を動かすこともまだしていなかったはずですから、逃げるのは難しかっただろうと思います。あるいは、巣から落ちたかもしれません。
全滅はしていないことを信じて、助かった雛がいるのならその内に姿を見せてくれるだろうと願い、時折様子を見に行っています。
あれから1週間、今のところコサメビタキには出合えていませんが、気長に待とうと思います。
あとがき
5年前の2017年にも同様のことがありましたが、その時は、カケスが襲撃するまさにそのシーンを目撃した人がいます。
一番子が羽ばたき練習を始めた2~3日後のことでした。
つまり、今回と同様に、「巣立ちの日、もしくは巣立ちをしてもおかしくない日」に襲われたことになります。
はたしてこれは偶然なのでしょうか?
カケスは、もしかすると、あえて巣立ちの日を狙っているのではないのでしょうか。そのような疑問も出てきます。
体長12~13cmのコサメビタキにスクランブルをかけられて、体長35cmほどあるカケスが毎回あっさりと退散してしまうことになんとなく釈然としないところがありました。
推測でしかありませんが、「あわよくばチャンスがありさえすればいつでも、しかし、本当の狙いは巣立ちの日だよ」とカケスは思っているのではないでしょうか。
2017年と今年に同じようなことを経験して、そんな気がしてなりません。
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