まえがき
ここに記載している内容は、客観的情報と主観的情報を私自身の言葉で記したものです。
つまり、野鳥関連の複数の図鑑や専門書で勉強した内容とネットの情報およびバーダーさんとの情報交換で得た知識に、フィールドでの自分自身の実際の観察経験を織り交ぜてまとめたものです。
まだまだ勉強中のバーダーなので、内容に必ずしも責任が持てる訳でもありません。この点をあらかじめご了承下さい。
基本情報
●全長13cm ◎季節性:夏鳥 ☆雌雄同色
名前について
漢字表記では、「仙台虫喰」と書きます。だからといって、仙台に多いというわけではないようです。
むしろ、鳴き声の”聞きなし”と関係ありそうです。
聞きなしの1つは、「鶴千代君」です。
この鶴千代君は伊達騒動(伊達藩のお家騒動)を題材にした人形浄瑠璃および歌舞伎の演目『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の登場人物のことだそうです。
この漢字表記に至った経緯を推測すると、鳴き声が鶴千代君と聞こえたので、伽羅先代萩を連想し、さらに「先代」から藩のあった「仙台」になったのではないでしょうか。
ちなみに、読みは同じで「千代虫喰」という表記も見たことがあります。
英名は、Eastern Crowned Warbler です。
頭央線を冠に見立てているのでしょうか。正確なところは分かりませんでした。
分布と生育場所について
以前はウグイス科となっていましたが現在はムシクイ科と分類されています。
夏鳥として九州以北に渡来し、平地から山地の落葉広葉樹林を好んで生活圏とします。
国内で普通に見られるムシクイの仲閒にメボソムシクイ・エゾムシクイ・センダイムシクイがいますが、その中でセンダイムシクイは最も標高の低いところに生息しています。(この点、メボソムシクイとは対照的です。)
渡りの時期には平地の林や市街地の公園でも姿を見られますが、それはエゾムシクイとメボソムシクイも同様なので市街地の公園などで見かけた場合は識別は慎重にする必要がありそうです。
習性としては、昆虫などの補食のために、林の中で比較的高いところにある枝上を活発に動き回るのでゆっくり観察することは難しいでしょう。
カラ類などの混群に混じっていることもあるので、さえずらない時期は混群に出会ったら意識して探してみるとよいでしょう。
外見や生態の特徴について
ムシクイの仲閒はどれも体の特徴がよく似ていて、全体に丸みが少なくほっそりとしてスマートな印象です。
嘴も細長いです。
体上面はオリーブ色(黄緑色~緑褐色)ですが、センダイムシクイはより黄色みを帯びるようです。
しかし、並べて比べて初めて分かる程度かもしれないと考えています。
体色は光の影響を大きく受けるので野外でも撮影した写真で見ても難しいと思います。
体下面は、概ね白いです。この点は明らかです。
センダイムシクイは繁殖期の終了は早めで、8月の中旬から山を下り始め、9月中旬までには平地の林も通り過ぎ南に渡ってしまうとのことです。
市街地の公園などで南下の渡り期にセンダイムシクイに会いたいと思ったら意外にチャンスは少ないのかもしれません。
ついでながら、エゾムシクイも南下は早いので、10月になってムシクイを見かけたら、メボソムシクイの可能性が大です。
ツツドリによく托卵されるそうです。
実際、2017年の8月下旬か9月の初旬頃に、ツツドリとセンダイムシクイが一緒にいるのを見ました。
もしかすると、仮の親にさせられたセンダイムシクイと大きく育ったツツドリだったのではないかと考えています。
類種との識別ポイント
ウグイス科のウグイスやヤブサメ、ムシクイ科のエゾムシクイやメボソムシクイと似ているのでとても紛らわしいです。
1.ウグイス・ヤブサメには翼帯は無い。ムシクイの仲閒には翼帯はあるが、センダイムシクイの翼帯が一番明瞭。
2.センダイムシクイの頭頂部には嘴基部から後頭部まで不明瞭だが頭央線がある。(が、個体差もあって、後頭部だけに見られる場合もあるとのこと。)
3.センダイムシクイは、上嘴に比べて下嘴は明るく橙黄色。
4.センダイムシクイの眉斑は白一色で明瞭。
鳴き声(囀りと地鳴き)について
外観はよく似ているムシクイ類ですが、囀りは種でまったく異なります。
「チヨチヨビーッ」という囀りが、「鶴千代君」とか「焼酎一杯グィーッ」と聞きなしされます。
一方で、「チュイン チュウイン チュイン」などとずいぶんと異なるさえずりをすることもあるようですが、センダイムシクイそのものの詳しい生態が分かっていないので、その理由などは不明とのことです。
地鳴きは、「フィッ」「ピィ」のように鳴きます。
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