まえがき
ここに記載している内容は、客観的情報と主観的情報を私自身の言葉で記したものです。
つまり、野鳥関連の複数の図鑑や専門書で勉強した内容とネットの情報およびバーダーさんとの情報交換で得た知識に、フィールドでの自分自身の実際の観察経験を織り交ぜてまとめたものです。
まだまだ勉強中のバーダーなので、内容に必ずしも責任が持てる訳でもありません。この点をあらかじめご了承下さい。
基本情報
●全長14cm(♀)/16cm(♂) ◎季節性:留鳥・漂鳥 ☆雌雄同色
魅力について
何と言っても、その鳴き声ですね。
もちろん、地鳴きの方ではなく、日本人ならだれでも知っている「ホーホケキョ」という美しい囀りの方です。
詳細は、後述(↓)します。
名前について
昔(江戸時代以前)は「ウーグイ」と鳴く鳥だと言われていたそうです。「ス」は古い言葉で鳥を意味します。(詳細はネットで検索してみてください。情報は古今和歌集にまでさかのぼります。)
英名は、Japanese Bush Warbler です。「藪を好む日本のムシクイ」ほどの意味でしょうか。warbler はムシクイを表しますが、warble という動詞は「囀る」という意味です。
分布について
全国に広く分布し、本州から九州では留鳥または漂鳥として繁殖し、北海道では夏鳥、沖縄では冬鳥としてやってきます。
生育場所について
平地から山地の林、特に笹のあるところを好みます。
竹藪や笹のあるところなら人家近くの林から亜高山帯まで広く棲んでいることから、環境に対する適応能力が高いと推察されます。
実際、最近まで自宅近くにあった竹藪にも棲みついていましたし、標高が2000m近くある石鎚山の山頂付近でも聞いたことがあります。
外見や生態の特徴について
雌雄は同色ですが、小鳥の中では珍しくオスとメスで大きさが異なります。遠くから見ても大小の区別は難しいですが、比較的近くにオスとメスがいると体の大きさで雌雄の識別ができるほどの違いがあります。
オスは「同時に一夫多妻、メスは連続的に一妻多夫」だそうです。いかに鳥の世界でも、これは少し珍しいのかもしれません。
その結果、1羽のオスのなわばりの中に、メスの数だけ巣が作られメス同士の争いは起こらないとのことです。
オスは子育てには参加せずメスだけが1羽で行います。
野鳥によって子育ての仕方はずいぶん異なるようです。
ボランティアで公園の草刈りをやっている人から、その人が作業中に見つけた巣の中にあった卵の正体を聞かれてたことがあります。
調べてみると、ウグイスの卵でした。
小指の爪ほどの大きさの赤いルビーのような美しい色をしています。
ウグイスは、その囀りが美しいので、オオルリ・コマドリとともに日本三鳴鳥(さんめいちょう)に数えられています。
「春告げ鳥」という別名からも分かるように、早春から鳴き始めます。
「ホーホケキョ」という囀りは日本人ならだれでも知っているでしょう。
もっとも囀りがよく聞かれるのは夏です。
天に向かって囀っている姿は日常の風景の一部にさえ感じます。
一方、秋から冬の間は「笹鳴き」と呼ばれる舌打ちのような「チャッチャッ」という地鳴きが聞かれますが、こちらの認知度はそれほど高くないようです。
また、警戒しているときなどは「ケケケ…ケキョケキョケキョ…」というけたたましい鳴き方をするのですが、これは「谷渡り」と呼ばれています。
2017年7月に一度、2018年4月に一度、喧嘩の時の鳴き声を聞きました。
初めて聞いた時にはすぐにはウグイスだとは分からなかったのですが、喧嘩をしているときの威嚇音だと後から分かりました。
ちなみに、個人的な観察の結果気が付いたことがあります。(学問的に正しいかどうかは分かりません)
私が探鳥フィールドにしている市内の公園では、「ホーホケキョ」と鳴けず、いつも「ホーホケッ」で終わる個体がいます。公園内の同じ空間に複数個体、しかも、3年連続です。ファミリーの”遺伝?”のような気がしています。
ところで、2018年の春まで、自宅近くに笹藪があり、春から毎日のようにウグイスの囀りが聞こえていました。
時には、目覚まし時計代わりに、ウグイスの美しい囀りで夏の暑い朝もとても気持ちよく目が覚め、そのような時はウグイスに愛おしささえ感じたものです。
いずれにしても、ウグイスのこの美しい囀りはお盆前後になると急に聞かれなくなり、一抹の寂しさを覚えます。
思い返すと贅沢なひとときだったのでしょう。
ウグイスの初鳴きに関して
街中の公園など標高の低いところでは、春先になると初鳴きが聞かれるようになります。
ウォーキング・コースとして利用している市内の公園で、2017年2月26日に初鳴きを聞くという貴重な体験ができました。
前の日まで地鳴き(チャッチャッ)しか聞こえませんでしたが、公園の入り口に近い標高が一番低い辺りで、たまたま頭上で”囀り”が聞こえてきました。
初鳴きの割には”ホーホケキョ”に近い状態で上手に鳴けていました。(一般的には、鳴き始めは下手で、”練習”しているうちに上手になっていきます。)
この個体がいた場所より標高が100mほど高いところにいるウグイスはどの個体もまだ地鳴きだけでした。
愛媛県内各地での初鳴きは概ね2月の下旬から3月の初旬に観察されるようです。
面白ポイント
なぜオスは長期間鳴くのか、その理由は常に繁殖の相手を求めているからであり、数羽と次々に番になり自分の縄張りの中に巣を作らせます。
何と破廉恥なオスかと思いきや、メスはメスで2回目の繁殖は別のオスの所に移るそうです。
自然界とは面白いものです。
コメント