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この記事は、旧ブログに掲載(2019年4月15日)していたものをブログ移転に伴い2022年4月26日に再掲載したものです。
細かな加筆修正を加えていますが、それ以外は旧記事と同じ内容です。
”事件”は3月31日の早朝に起こりました。
カワセミの観察&撮影ポイントに着くと、いつもとどことなく雰囲気が違います。
カワセミの鳴き声が断続的に聞こえてきます。
しかもいつものおとなしい鳴き方や餌をねだる時のような甘えたような鳴き声とは違います。
けたたましいと形容しても差しつかえないような激しい鳴き方です。
鳴き声が聞こえたと思ったら、約30m先で複数のカワセミが上下左右に変則的に飛び交うようなシーンが目に飛び込んできました。
次の瞬間、1羽のカワセミが水面をぎりぎりに滑空し池に張り出した林の中へ飛び込みました。
さらに別のカワセミがその後は追うように同じ林の中へ飛び込みました。
「いったい何事だ~?」
これが観察ポイントについてすぐに目撃したシーンでした。
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掲載写真は、拡大できるものとできないものがあります。PCモニターでご覧になられる場合は、画像上のマウスポインターの形状で拡大可能かどうかわかります。
カワセミの“恋のバトル”…三角関係
顔見知りの散策者の一人が「カワセミが3羽いるんですよ!」と教えてくれました。
「3羽!!!」
「そういうことか!」
カップルのカワセミの所に”あの時”のオスが入ってきたのだなと考えました。
「あの時」というのは、1月末の3日ほどの間に見かけたオスのことです。
実は、この池を縄張りにしているオスとは別のオスが侵入してきたことがありました。
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この時のオスが約2ヶ月ぶりに姿を現し、既にカップルになっているメスを奪おうとしているのだなと「推測」しました。
現場では、観察者の間で自然と「三角関係」とか「不倫」というような言葉が出てきました。(^^)
こんな予想外の光景に驚きながら観察を1時間ほど続けました。
恋のバトルの原因はメスの横恋慕だった!
しかし、後になってもっと驚くことになりました。
それは、PCのモニタ画面で撮影した恋のバトルを撮影した中のある1枚を見たときのことです。
論より証拠、まずその写真を見ていただきましょう。
メスが2羽いたんです!!!
この画像では左上のがメスだとは分からないかもしれませんが、別のコマとも合わせると左上のもメスだと断定できました。のちほど明らかになります。
つまり、メスによる横恋慕!
オスを巡ってメス2羽が激しいバトルをしていたことになります。
まったく想像できませんでした。
オスがメスを取り合って争うものという先入観があったので現場では気が付きませんでした。
飛び出そうとしてる左下のがオスです。
メス2羽の喧嘩に恐れをなして逃げだそうとしている、そんなシーンでしょうか。
バトルのワンシーン(1)
これからお見せするのはバトルの連続的に撮影した写真です。
下嘴の色が赤いことから両方ともメスだと分かります。
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このようなバトルを観察している範囲のあちこちで繰り広げました。
バトルのワンシーン(2)
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本妻のメスを横恋慕のメスが追い回しています。
1枚の写真に追いかけるメスと逃げるメスの両方をとらえることができたのはこのショットだけです。(ピン外れとブレが残念でなりません。)
両者の違いは、メスの特徴である下嘴の赤色の鮮やかさと範囲で識別可能です。
バトルのワンシーン(3)
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バトルの他のシーン(4)
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恋のバトルの結末は?
私は時間の関係でこのバトルを最後まで見届けることはできませんでした。
後日他の散策者から得られた情報を元に判断すると、このバトルは4~5時間ほど続いたようです。
次の日はもう落ち着いていて、本妻がオスと元のように過ごしていました。
恋のバトルの謎
私は野鳥の生態に詳しいわけではないので、上記の説明には事実とともに主観的要素も入っていると考えてください。
素人なりの私の判断では、
毎回の探鳥ウォーキング時の観察経験から、この池に今いるオスとメスはバトルのかなり前からカップルとして成立しています。
その根拠の1つは、下の写真です。
交代で巣穴を掘っているときの姿です。嘴と足に赤土がついています。
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分かっている範囲内では、3月16日からこのような姿が見られました。
ついでながら、
このような求愛給餌と見られる様子も時折観察することができました。
何が謎なのか?
1つは、「カップルとして成立した後でもこのようなことがあるのか?」ということです。
他の鳥のことですが、番(つがい)になった後でもオスがメスの不倫に目を光らせるなどという話を読んだことがあるように思います。
それならばあり得るのでしょうね。
そこで、もう1つの疑問が生まれます。こちらが私にとっては主な謎なのです。
「横恋慕したのがメス」という点です。
メスが他のメスを追い払ってそのパートナーのオスとカップルになろうとするものなのでしょうか。
実際にそう思えるバトルを目撃した者としては、「そういうことがあるのだな」と思うしかない訳ですが、少なくとも普通にあることなのでしょうか。
オスの行動なら理解できるのですが、メスの行動としてはどうなのでしょうか?
どなたかこういう生態に詳しい方がおられましたら、教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。m(._.)m
あとがき
野鳥の観察と撮影をやっていて面白いと思うようになったのはその生態です。
生態を垣間見られるような一瞬に出会うととても興味をそそられます。
最初の頃は、野鳥の可愛い表情を撮る、美しい野鳥の写真を撮る、ということにしか関心が向かなかったのですが、経験を積み重ねるに従い、「生態を知りたい」と思うようになりました。
生態に興味を持つようになって感じているのは、情報の少なさです。
たまには野鳥の会にメールをして教えていただくこともあります。
しかし、図鑑などで自分で学ぶことができればそれに越したことはないと思っています。
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