野鳥を知るための基本的な用語集

★『鳥』|Birds

バードウォッチングの入門者・初心者のための情報です。

バーダーさんと情報交換したり、図鑑の情報を理解するために必要な基本的な用語を解説します。

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季節性を表す用語

留鳥(りゅうちょう)

よく知られたところではスズメのように、一年を通じて同じ地域に生息し、季節による移動をしない鳥

ただし、注意点があります。同じ種でも、地域によって留鳥だったり漂鳥だったりすることがあります。

私のフィールドを例にとると、メジロは年間を通して見られますが夏は少なくなり冬は逆に多くなります。

これは年中同じ場所に留まっている個体と季節によってより環境の良いところに移動する個体がいるからと考えられます。(したがって、私のフィールドではこのような種を「留鳥・漂鳥」と分類しています。)

さらに、山のフィールド(標高1,000m前後)を例にとると、夏には普通に見られるヤマガラが冬季は山を下りて平地に移動しているようです。

漂鳥(ひょうちょう)

ルリビタキのように、季節によって、主に冬の寒さや積雪を避けて越冬する目的で、狭い地域の標高の高い地域と低い地域との間を移動する鳥、あるいは国内において北方と南方を移動する鳥

「留鳥」の項目で記したように、留鳥と漂鳥の区別は明確でない場合もあります。

夏鳥(なつどり)

キビタキのように、春に、東南アジアなど、南方の地域から渡ってきて日本で繁殖し、秋になると南方に渡ってそこで冬を過ごす鳥

冬鳥(ふゆどり)

ジョウビタキのように、秋に北方(例えば、シベリア)から日本に渡ってきて越冬し、春に北方へ戻って繁殖する鳥

旅鳥(たびどり)

日本では繁殖も越冬もしないで、春秋の渡りの途中に一時的に立ち寄るだけの鳥

私のフィールド(公園)で見られるエゾビタキとサメビタキは、秋に見られることが多いです。

迷鳥(めいちょう)

通常はやって来るはずのない種なのに、台風などの悪天候など何らかの偶然的要因で迷い込んだ鳥

厳密には、日本国内に生息していない鳥に対して使うのでしょうが、もう少し広い意味でも使われている場合もあるようです。

特徴的な行動を表す用語

混群(こんぐん)

繁殖を終えたカラ類はしばしば群れで行動するようになりますが、その群れが複数の種で構成されていることがあります。

これを混群と言います。

私のフィールドでよく見かけるのは、カラ類にエナガ、コゲラ、メジロが加わっている混群です。

その場合、エナガが混群を先導している場合が多いようです。

混群に出会ったら、1つの種にとらわれないで観察することが大切です。

というのも、予想外の種が混じっていることがあるからです。

経験した範囲内では、センダイムシクイやメボソムシクイ、リュウキュウサンショウクイ、キクイタダキです。

特に、冬季はリュウキュウサンショウクイが混じっていることがよくあって、この種は単独の群れよりも混群の中に見つける場合の方が多いです。

フライングキャッチ

エサとなる空中の昆虫を飛びながら捕食すること。(左の画像は、コサメビタキが昆虫を補食して元の枝に戻ってきた瞬間)

ヒタキ類に顕著に見られます。

枝先に止まって獲物を待ち、チャンスになると飛び立ち獲物を捕獲した後に元の枝もしくは近くの枝に戻ってくる行動を指します。

英名にもその特徴が表れている種が多く見られます。

例えば、オオルリは Blue-and-white Flycatcher、キビタキは Narcissus Flycatcher、コサメビタキは Asian Brown Flycatcher、エゾビタキは Grey-streaked Flycatcher というように、「~ Flycatcher」が付いています。

ホバリング

ヘリコプターのように、空中のあるポイントに留まる飛び方のこと。

捕食活動の一環として行うことが多いようですが、日本最小のキクイタダキから猛禽類にいたるまでの多くの種に見られます。

個人的な観察経験では、キクイタダキに出会うと観察できる確率は群を抜いて高いです。

ヘルパー

繁殖中のペアの子育てを手伝う個体のこと。

図鑑でエナガを学習すると必ずと言ってよいほど触れられています。

エナガは同種だけでなく他の種のヘルパーになることも報告されています。

求愛給餌(きゅうあいきゅうじ)

繁殖期にみられるオスからメスへの求愛目的の給餌行動。

個人的な経験では、観察しやすいのはカワセミで、繁殖期にオスがメスに小魚を与える姿は比較的簡単に見られます。

鳴き声に関する用語

囀り(さえずり)

縄張り宣言や求愛をする時の鳴き声で、比較的長く複雑な音の組み合わせで美しい傾向があります。

普通はオスだけの特徴ですが、オオルリのようにメスも囀る場合があります。

ちなみに、特に囀りの美しい鳥としてウグイス・オオルリ・コマドリの3種を「日本三鳴鳥」と呼ぶことがあります。

地鳴き(じなき)

囀り以外の鳴き声を地鳴きと言います。囀りと比べて、短く単純な鳴き声の場合が多いようです。

何らかの意思表示や仲間とのコミュニケーションのために出す声なのでしょう。

ちなみに、ウグイスの地鳴きを「笹鳴き」ともいいます。

ぐぜり

若鳥にしろ、成鳥にしろ、さえずりが上手になる前の不完全な鳴き声。

野鳥の音源を検索すると出くわす用語です。

聞きなし(ききなし)

100年ほど前から使われている用語で、鳥のさえずりを人間の言葉(発音)に当てはめて覚えやすくしたもの。

意味を持たせたフレーズが多いようですね。

ウグイスの「法華経」、ホオジロの「一筆啓上仕り候」、ホトトギスの「特許許可局」、センダイムシクイの「焼酎一杯グイーッ」、コジュケイの「ちょっと来い、ちょっと来い」などがよく知られています。

ちなみに、英語圏にも聞きなしはあって、コジュケイのそれは「People pray, people pray」、シジュウカラは「Teacher, teacher」だそうです。

外見的特徴を表す用語

アイリング

メジロなどでよく知られている、目の周囲の縁取り模様のこと。

白い場合が多いですが、黄色やサンコウチョウのように青い場合もあります。

アイリングの特徴が識別に重要な要素になることもあります。

冠羽(かんう)

頭の上や後頭部に見られる長い羽毛の束。

控え目な冠羽から突出して目立つ冠羽までさまざまです。

種によって、1年中あるものと繁殖期のオスにのみ出現する場合もあります。

求愛時や警戒したり興奮したりしているときに立てる場合が多いようです。

縦斑(じゅうはん)

エゾビタキにあるように、鳥を人間のように立たせたと想定して、胸から腹部の方向に「縦」にある模様。

横斑(おうはん)

ホトトギスにあるように、鳥を人間のように立たせたと想定して、胸や腹部の辺りに「横」にある模様。

重要な識別ポイントになる場合があります。

翼帯(よくたい)

翼に見られる帯状の模様。

翼帯の有無や数が重要な識別ポイントになる場合があります。

瞬膜(しゅんまく)

瞼とは別に眼球を保護するための膜。

透明もしくは半透明で水平方向に動きます。

撮影すると、光沢の無いスモークガラスのように見える場合が多いでしょう。

よく見られるのは、カワセミがダイビングする際やコゲラが木を突いている時です。

眼球を保護しているのだなと実感します。

過眼線(かがんせん)

嘴(くちばし)の基部から眼の前後を通る線状の模様。

過眼線の特徴が雌雄の区別や種の識別に重要なポイントになる場合があります。

頭央線(とうおうせん)

センダイムシクイに見られるように、額の辺りから後頭部にかけて見られる白っぽい線状の模様。

類似種の識別に重要なポイントになる場合があります。

成長段階を表す用語

換羽(かんう)

換羽とは、古い羽毛が抜け落ちて新羽に替ること。

換羽は繁殖時期や渡りの時期と関連し,少くとも年1回,鳥によっては年2~3回換羽するそうです。

成鳥

幼羽が完全に成鳥羽に換羽した鳥。

言い換えると、季節による変化はあっても、”成長”による羽の変化が起きない状態に成熟した鳥を意味します。

若鳥でも繁殖を開始する種もいますので、繁殖能力とは直接関係がありません。

若鳥

現在では一般的に、第1回換羽から完全に成長羽に換羽するまでの成長段階の鳥のことを言います。

ルリビタキのオスは綺麗な青色になるのに3年前後(4年という説も)かかるらしいのですが、それでも完全な成長羽になっていないオスを「若鳥」と呼ぶのかは分かりません。

幼鳥

現在では一般的に、幼羽が第1回換羽までの成長段階にある鳥のことをいいます。

雛(ひな)

狭義では、孵化して間もない、幼羽(ふ化後最初に生える羽)に覆われるまでの成長段階にある鳥。

親鳥の庇護なくして生きていけない。

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